地域の精神科医療や福祉サービスも様々な制度が整う中、グループホームや作業所や就労移行といった事業所も増えて、選択肢が増えて良くなっているのだろうと思う。
しかし、それでも実際には居場所がないと感じていたり、社会の理解が進んでいないと感じておられる利用者さんや家族が多いのはどうしてなのか。
私たちが行う訪問看護は、居場所を作ってそこに来て頂くというサービスではないので究極的には、人と人との繋がりでどうやって安心感を生む事ができるのか、その関係性の中に居場所を感じて頂く事ができるのかを考えている仕事になる。
この疾患、障害を持っていたとしても安心して生きていく事ができる。今ここに生きている事に喜びを感じていられる。将来が楽しいものに思える。そう思えるように支援する側もされる側もどうしたらお互いに成長していけるのか。新たな価値観を作り出す事ができるのか。
あの地のあの場所に行かなければ、本当に素晴らしい精神科医療を受ける事ができないという幻想を抱く必要はないのだと私は考えている。今、ここにいるあの人と繋がりを持てば良い。あの人と繋がっているあの人と繋がればもっと良い居場所が得られる。そう思える関係をこの場所で作る事が出来れば良いだけの事なのだと思う。
その為にも様々なサービスを行っている事業者、支援者、家族、そして当事者が同じ価値観のもと繋がりをもって、本当に安心した地域医療や福祉サービスがどんなものなのかを本気で語り合う必要があるのだと思う。そして、利用する者も利用して頂く者も、誰もが自由に語り合える居場所が必要なのだと私は考えている。