原点について

今になって、自分の原点がどこにあるのか考える事がある。

私の場合、看護師になってからお世話になった先生や先輩方も多いのだが、看護学校の先生や、その前の看護助手をしていた頃、東京武蔵野病院で出会った医者や看護師がとても強烈な先生、先輩方で、自分の今の職業の原点になっているように思う。

外来で「お前はひとりで生きているのではないんだ」と言って、患者さんを抱きしめてしまう医者。外泊中に同じ間違いをおかして帰ってきた患者さんを本気でしかりつける医者と、それを身体張って止めに入る看護師。一日時間をかけて一人の患者さんと花見に行ってしまう看護師と、その時の思い出をずっと嬉しそうに話す患者さん。

 

何が正しい医療なのか、正しい選択なのか、そんな簡単に行くような診療科ではないからこそ、ただそこにある困難に、向き合って一人の人間として寄り添うという姿勢が本当に大切な事なのではないかと思う。何かを教えられるような存在ではないから、何かを学び続けるという姿勢でいた方がずっと楽だし、自分が成長する事が出来る。あの時、あなたが居たから救われた。そんな事を言い合える関係性が、想像を絶するような困難に立ち向かう時、必要な事なのではないかと思う。ただ、謙虚に今の困難と向き合って前に進む勇気、お互いをリスペクトし合う関係性が必要なのではないかと思う。

看護師:菊地